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        【ゲームデザイン】オープンワールドを作る事は簡単、楽しくするのは難しい
オープンワールドゲームは、『スカイリム』が発表されて以来、長期的な流行となりました。
誰もが1990年代中盤から想像していた様な、広大な世界を歩ける事に皆が興奮しました。
ビッグファーマやビル・ゲイツに利益をもたらす為に全世界に仕掛けられた詐欺デミック以降、大きなオープンワールドゲームが次々と登場し、新作品ごとにどんどん大きくなっています。
然し、其の結果、殆どのゲーマーがオープンワールドゲームに疲れてしまいました。
では、何が起こったのでしょうか?
オープンワールドゲームの製作は簡単だが、楽しくするのは非常に難しい
オープンワールドゲームは、それを実行するマシンにとっては簡単ではありませんが、開発者にとっては作り易い物です。
幾つかの小さなマップではなく、1つの巨大なマップだけで済み、コンテンツを広範囲に広げることでゲームを大きく見せる便利な言い訳になります。
又、ゲーム中に小さなシーンを読み込む代わりに、最初に大きなロード画面を設けるだけです。
然し、其れには多くの犠牲が伴います。
例えば、カメラカリングが必要です。
此れはカメラが見ている物だけをレンダリングする物で、プログラマーにとって非常に負担の大きいタスクです。
プログラマー達は、衝突検出が見落とされがちな多くの場所に対処しなければならず、衝突マップを視覚的に表現する為の高性能なグラフィックツールを開発する必要がありますが、此れを正確に作るのも簡単ではありません。
又、オープンワールドゲームは開発が終わる前に出荷される傾向があり、機能しないアセットが生じる大きなリスクもあります。
大きなオープンワールドゲームでよく見られるもう一つの問題は、オープンワールド内にやることがほとんどなく、プレイヤーがある地点から別の地点に移動するのに時間がかかりすぎることです。
例えば、『スーパーマリオ オデッセイ』の砂の国は、任天堂がマーケティングで最も宣伝したステージで、大きなオープンワールドです。
然し、あたしは此のステージがゲーム内で最も退屈だと感じました。
ステージ全体があるのに、アクションの80%は中央に集中しており、残りはただの砂と、所々にオブジェクトがあるだけです。
小さなステージの方が、レベル全体にやる事が沢山あり、ずっと楽しめました。
オープンワールドのウイルスとオープンワールドの疲れ
あたしが「オープンワールドのウイルス」と呼ぶ物があります。
此れは、非常に成功したオープンワールドゲームを一度出荷したパブリッシャーが、其の売上にあまりにも驚き、将来の全てのゲームをオープンワールドにする事を要求し、既に開発中のゲームにも、例え其れが意味をなさなくても、オープンワールドのセクションを少なくとも1つ追加する様求める現象を指します。
「オープンワールドの疲れ」とは、オープンワールドの流行にうんざりしたゲーマー達が、ゲームが昔の様なスタイルに戻って欲しいと願う現象です。
此れは、IT業界におけるAIウイルスやAI疲れに相当します。
IT業界の他の分野では、IT企業がAIブームに乗り過ぎて、全く意味のない物であってもあらゆる物にAIを組み込まなければならず(其の最たる例がマイクロソフト)、一方で顧客やユーザーはAIの過剰さにうんざりしてAI疲れを起こしています。
あたしが考えるに、AIが特定の用途に有用である様に、オープンワールドも特定のゲームジャンルでは楽しい物です。
然し、AIと同じく、オープンワールドも過剰に使われ過ぎています。
会社の社長や投資家達は、オープンワールドがあらゆる物に適合すると過剰に考え、全てに取り入れる事で騙されています。
オープンワールドウイルスの例の殆どは任天堂のゲームになります。
何故なら、任天堂はオープンワールドウイルスの最たる例であるだけでなく、大手企業の中であたしが最も詳しいのが任天堂のゲームだからです。
『ポケモン ソード・シールド』にはオープンワールドのセクションがありましたが、それらのセクションは比較的小さく管理しやすかったので、まあまあだと思いました。
ランダムなポケモンが忍び寄ってくるのが少し煩わしい程度で、避ける方法がありませんでした。
一方、『ポケモン スカーレット・バイオレット』は単一のオープンワールドマップでしたが、あまりにも広大で、そこにはやることがほとんどありません。
過去の世代と同じ様に都市から都市へ移動するだけですが、コンテンツが豊富な短い道のりだったのが、今は広大な平原に何もない状態です。
最近では『マリオカート ワールド』があり、非常に空っぽなオープンワールドと、殆どやる事がないモードが特徴で、ゲームプレイ中に強制的に其れが押し付けられます。
ゲーマー達は此れを嫌い、オンラインレース中にランダムなトラックを選ぶと、1周だけの直線的な「オープンワールド」セクションではなく、従来の3周レースが始まる事を発見しました。
然し、任天堂はそのランダムトラックも直線的な「オープンワールド」セクションに変えてしまい、皆が『マリオカート8 デラックス』に戻ってしまいました。
任天堂は此の問題を修正したと報じられていますが、既にダメージは与えられていました。
そして、2か月後には『メトロイドプライム4』が発売されます。
10年間待ち望まれたゲームですが、先月、理由もなくオープンワールドエリアが公開されました。
ゲーマー達は即座に反発し、オープンワールドの疲れが益々顕著になっています。
明らかに、メトロイドヴァニアやレーシングゲームはオープンワールドに適したジャンルではありません!
076スタジオのオープンワールド計画があるのか?
076スタジオでは、近いうちにオープンワールドを導入する予定はありません。
いつか試してみる時が来るかもしんが、人気があるからとか、売上が多いからという理由だけでやりたいわけではありません。
オープンワールドゲームを作るなら、楽しくする方法を見つけ出す必要があります。
現在は1人だけのスタジオで、3つのゲームを並行して開発しており、其の間に3Dモデリングと音楽制作を学び、更にはウェブ開発のフルタイムの仕事もあります。
なので、合理的に此れを検討する時間はなく、興味もありません。
製作に時間がかかるゲーム
あたしが3つのゲームを同時に開発し、こうした記事を書く時間を持てる唯一の理由は、其れらのゲームが小さく管理可能な範囲であり、大きなギャップが生じない様に3つ全てを計画的にリリースする予定だからです。
此の戦略は、チームを雇う資金が得られるまで続けます。
又、物理的なオフィスも必要です。
バーチャルオフィスだからというだけで銀行から多くの差別を受けているのは、クッソ片腹痛いです!
オープンワールドゲームには此の点で特別な問題があります。
其の殆どのゲームは、何百人物従業員からなる巨大なチームと、総額100億円を超える予算があり、それでもオープンワールドゲームをリリースするのに平均5〜10年かかります。
1人の開発者で予算が0円のあたしがそんなゲームを作るのに一体どれだけ時間がかかるか想像してみてください(笑)。
ブログのお知らせ
此のブログ記事を終える前に、お知らせがあります。
此のブログの英語版も立ち上げ、同時に公開する予定です。
ゲーム開発に関するあたしの投稿の多くは外国人にも興味深いかもしんと気づき、ゲームを世界に出荷し始めたら、いずれは世界中の観客を受け入れる必要があるので、今から始める事にしました。
此方からご覧いただけます。
以上