2025-05-31 10:15:19
諏訪子
gamedev
rant

【ゲーム企業】高騰するゲーム価格の誤解

Nintendo Switch 2の発表以来、インターネット上ではゲーム価格の上昇について多くの不満が上がっています。
其れら(それら)は主に海外のユーザー(外国人)から聞こえています。
比較すると、国内のユーザー(日本人)は其れ程気にしない様です。
Switch 2には、例えばゲームキー・カードの様な欠点がある事は認識していますが、価格は其の一つではありません。

Switch 2のゲームは高過ぎるか?

この質問に答える前に、先ず(まず)貴方(あなた)に質問があります:物理的なカートリッジでゲームを発売した事がありますか?
抑々(そもそも)ゲームを発売した事がありますか?
Switch 2のゲーム価格の高さに不満を言う人達は、明らかに其の実情を知らないのだと思います。

気づいていないかもしん(かもしれません)が、デジタル専用のSwitch 2ゲームは、Switch 1、PS4、PS5、又はSteamと同様に、非常に安価です。
デジタル専用でゲームを発売した事がある人なら、其れがどれ程低コストかを知っています。
必須のコストがない為、価格を安く抑えられるのです。

然し(しかし)、ディスク、カートリッジ、ゲームキー・カード、或いは単なるシリアルコード入りのボックスでゲームを発売する場合、非常に高いコストに直面します。
Nintendo 3DSやWii Uの時代、あたしはデジタル専用でリリースしていましたが、それはIARC(国際年齢評価連合)が存在する前の話です。
(また)、パッケージ版の制作コストについても把握しています。
IARCが存在する前は、地域ごとの年齢評価に費用がかかり(1地域略20万円)、ゲームのローカライズや、マニュアルやストアページの翻訳にもお金がかかりました。
未だ発売していないゲームの為に、既に約1000万円(高いですね~)を支払いました。

開発機の購入や、学生を雇ってアートや音楽を制作したコストを加えると、其の3倍にも成ります。
広告は殆ど(殆ど)出来(でき)ませんでした。
何故(なぜ)なら、其の時点で資金が底をついていたからです。
其れ(それ)でも、YouTubeでトレーラーを公開したり、大きなゲームジャーナリストのハブでプレスリリースを公開したりしました。
任天堂も発売1週間前にあたし(諏訪子)のゲームを宣伝してくれる等、少し手助けしてくれました。
これは全て10年以上前の話です。
今日のコストを想像してみて下さい!

デジタル配信の場合、今日では当時より約950万円安く済みます。
AI(人工出鱈目)の翻訳やローカライズを活用すれば、更に50万円安く成ります。

然し、パッケージ版のゲームを発売する場合、上記の全てのコストが依然としてかかります。
実際には更に大変で、任天堂にカートリッジのフラッシング、ボックスの3Dプリント、及びボックスアートの2D印刷され、任天堂まで新幹線で其れらを受け取りに行く、国内及び国際的な小売店への配送等のコストが加わります。
売れなかったゲームは全て収益の損失に成ります。
一方で、ゲームが直ぐに売り切れた場合、追加のカートリッジやボックスを注文し、再度任天堂まで受け取りに行き、小売店に再配送する必要があり、更にコストが増えます。

だから、9000円のゲームが高過ぎるかという質問に対する答えは:いいえ、高くありません。
今日の経済状況、ゲームを市場に出す為のコスト、そして1人ゲーム開発スタジオとして得られる注目がどれ程少ないかを考えると、パッケージ版ゲームが9000円というのは妥当です。
デジタル専用ならもっと安く出来ます。
然し、デジタル版がパッケージ版と同じ価格である理由は、デジタル版の価格を下げるとパッケージ版を売れなくなる問題が生じ、結局損失を被るからです。

次回にゲームの価格上昇について不満を言う前に、先ず自分でパッケージ版ゲームを発売してみて下さい。
そして、其れが正しいか間違っているか、教えて下さい。

以上