
【ソフトウェア】「アプリ」はアプリじゃない
あたしがスマートフォン用に作られたソフトウェアの文脈以外で「アプリ」という言葉を使わない事にお気づきかもしん。
これには本当に良い理由があります。
特に技術業界であたしを非常に悩ませているのは、「アプリ」という言葉の絶え間ない誤用です。
「アプリ」という言葉の歴史
2007年以前、この言葉はまだ存在していませんでした。
その後、スティーブ・ジョブズがiPhoneを持って登場し、「app」(または日本語では「アプリ」)という言葉を考え出しました。
ローマ字表記では、偶然にも「Apple」(会社名)の最初の3文字と同じです。
詰り、「アプリ」という言葉を使う事で、貴方は無意識のうちに他の人々にApple製品を宣伝しているのです。
何故Appleが新しい言葉を発明したのか、と疑問に思うかもしん。
彼らはあらゆる物に新しい言葉を作り出し、貴方にそれを使わせる事で、気づかないうちに彼らの製品を宣伝させているのです。
例えば、「4K解像度」の代わりに「Retina Display」と呼び、「TPM 2.0」の代わりに「Apple Secure Enclave」と呼び、「120Hzディスプレイ」の代わりに「ProMotion Display」と呼び、「ARM64 Mac」の代わりに「Apple Silicon」と呼んでいます。
あたしはこれを「Apple Pi」と呼ぶのが好きです。
何故なら、それは何も変更出来ないシングルボードコンピュータに過ぎませんが、見た目の良いケースに詰め込まれ、購入後数年で動作しなくなる製品としては高過ぎる価格が付いているからです。
「アプリ」という言葉の問題点
「アプリ」という言葉の特有の問題は、これがとても普及した為、技術に疎い全ての人々があらゆるソフトウェアを「アプリ」と呼び始めた事です。
そしてこのブログを暫く読んでいる人は皆、あたしがスマートフォンを本当に好きではない事を知っています。
技術に疎い人々が名前を変えるソフトウェア用語の簡略化したリストは次の通りです:
iPhoneの前 | iPhoneの後 |
---|---|
ソフトウェア | アプリ |
プログラム | アプリ |
CLIユーティリティ | アプリ |
ゲーム | アプリ |
ウェブサイト | アプリ |
ファームウェア | アプリ |
ドライバ | アプリ |
カーネル | アプリ |
バックエンド | アプリ |
フロントエンド | アプリ |
ビデオ | アプリ |
チャットプロトコル | アプリ |
アプリケーション | アプリ |
エンベデッド | アプリ |
サーバー | アプリ |
クライアント | アプリ |
デーモン | アプリ |
コンパイラ | アプリ |
デバッガ | アプリ |
仮想マシン | アプリ |
このリストに「コンテナ」を追加しなかった理由は、iPhoneが登場した時点では未だ存在していなかったからです。
時間の経過と共に、これはソフトウェア配布にも拡大されました:
iPadの前 | iPadの後 |
---|---|
Android Market(現在は「Play Store」) | App Store |
Steam | App Store |
Wii Shop(現在は「Nintendo eShop」) | App Store |
PSN Store | App Store |
AUR | App Store |
apt-get | App Store |
Flatpak/Snap | App Store |
rpm | App Store |
ポーツコレクション(BSD、CRUX) | App Store |
パッケージマネージャ | App Store |
.msiウィザード | App Store |
Unity Asset Store | App Store |
Spotify | App Store |
The Pirate Bay | App Store |
Appleの用語が他の分野に漏れ出している他のソフトウェアもあります。
例えば「Dock」です。
然し、「Dock」はデスクトップ環境においてプログラムアイコンが表示される浮動パネルとして明確に定義されています。
一方、「アプリ」という言葉はあらゆる種類のソフトウェアにわたって非常に広く使用されており、それが問題なのです。
そのうち全てのハードウェアを「Mac Silicon」と呼び始めるのも時間の問題ではないでしょうか。
技術的リテラシーのない人々は全てのタブレットPCを「iPad」と呼び、場合によっては全てのノートパソコンを「iPad」と呼ぶ事もあり、これは又別の問題です。
あたしの母親でさえ、常に彼女のiPadを「ノートパソコン」と呼び、あたしのThinkPadを「iPad」と呼びます。
彼女が60代後半であり、彼女が毎日接している他の技術に疎い人々も同様にしている事は理解出来ますが、何十年物間技術を専門としてきたあたし達にとって、これは面倒臭いです。
以上